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輸入楽譜の調べ ~G.Henle Verlag~


ピジョンブルーという色をご存じでしょうか。



灰色味のある青色を指す言葉ですが、ヘンレ版の楽譜の色と言えばすぐに思い浮かぶのではないでしょうか。
そう、あの色です。

今や国際的にも高い評価を得ている、ヘンレ版の楽譜。
今日はそんなヘンレ版の魅力を少しご紹介いたします。




ヘンレ出版(G.Henle Verlag)は、1948年ドイツ・ミュンヘンにてギュンター・ヘンレが設立した「原典版楽譜の出版社」です。

実業家・外交官などとして活躍していたヘンレは、同時にピアノ演奏家でもありました。
当時練習や演奏するにあたって流通していた楽譜は、作曲家の意図と異なる改変をされたものや、印刷や製本の質も悪いものが多く、そういった楽譜の横行にヘンレは不満を持っていたようです。


そのような思いの中で1948年、出版社設立してたどり着いた概念が「原典版」でした。


学術的な校訂にひたむきな努力を重ね、恣意的な付加のない、なおかつ実用的な楽譜で出版するという理念のもと、ヘンレ社の原典版はドイツから世界中へと広く浸透していきました。

印刷・製本の面でも、演奏者に寄り添い、光の反射を軽減するクリーム色の用紙を用い、少し前までは彫版を職人が音符一つ一つ彫って印刷していました。(参考映像:https://youtu.be/BvyoKdW-Big
*現在はデジタル印刷になっています。


こうした不断の努力により、ヘンレ社の原典版は楽譜出版業界に大きな変革をもたらし、今日に至るまで高い評価を得ています。




そうした歴史ある出版社でありながら、現在でも進化し続けています。

例えば、ベートーヴェンの”エリーゼのために”。

7小節目の1カッコ前の音型は、これまで「ミドシラ」と記載されているものが一般的でした。
しかし2016年以降新たに出版されたヘンレ版では、「レドシラ」の音型に変更されています。
他にも何点か変更が入っています。


不朽の名作にも絶えず学術批評を繰り返すことで、楽譜もどんどん進化していっています。


また、ブラームスやシューマンなどのドイツの作曲家の作品が主だったヘンレ版も、近年ラヴェルやアルベニス、ガーシュインなど、さらに幅広く出版されるようになりました。今や作品数は1,100点を超えています。

当店でもヘンレ版はピアノ譜のみならず、ヴァイオリン譜やミニチュアスコアなど、幅広く取り揃えております。
ぜひお立ち寄りの際はヘンレ版の魅力に触れてみてはいかがでしょうか。


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